1998年のル・マン24時間に参戦したLMGT1クラスのレーシングカー「トヨタ TS020 "トヨタモータースポーツ" ルマン24時間 1998」を忠実に再現したモデルになります。
原型は実車の3Dスキャンを行い採取したデータを元に設計。インテークなど入り組んだ形状は成型時の型離れが悪く、正確な彫の深さや形状を再現するにはそれが最善の方法となるためです。
先にリリースするのは1998年のル・マン参戦車両ですが、スプラッシュパターンのグラフィクスはデカールでの表現となります。
弊社の場合、デカールを貼り付け後にその上からクリアコーティングを行って、さらに表面を磨き込んで鏡面仕上げとするのがデフォルトですが、実際に製造を担当する職人たちが美しくフィニッシュしやすいように考慮して設計を行っています。これはモデルカーの設計から製造まで、すべてを自社で行う弊社がもっとも得意とするパートとなります。
車体はレジン製となりますが、肉厚の薄いウィングなど経年変化で歪みが生じやすい部分にはホワイトメタル製部品を使用し再現しております。ホイールは真鍮切削原型をホワイトメタル鋳造部品に置き換えてセットしています。
今後種々のバリエーション展開を予定しているTS020のモデルですが、すでに弊社からリリース済みのTS010、TS050などと合わせてコレクションいただき、トヨタのル・マン24時間の歴史を振り返ってみるのも良いのではないでしょうか。
※アクリルベース、クリアケース付属
1985年、トヨタ トムス85Cに始まるトヨタのル・マン24時間参戦の歴史。2022年のル・マン24時間の勝利をもって5連覇を達成した現在から考えれば遥か昔のことですが、参戦当初は欧州勢の厚い壁に阻まれ、優勝はおろか完走すら難しい状況にありました。そんな中で、ようやく日の目を見たのが1992年のル・マン24時間で、Cカー規定に則って開発されたTS(トヨタ・スポーツを略したもの)010が総合2位を獲得しました。
TS020はTS010譲りのエンジンを搭載してはいましたが、マシーンのカテゴリーをCカーからLMGT1/LM GTPへと変更し、完全に新設計されたもの。当時の規定に則ってナンバーやマフラーを付けて公道走行できる個体も製作され、GTカーとしてのホモロゲ―ションを受けていましたが、実態はプロトタイプカーといってもいい、純レーシングカーでした。
名エンジニア、アンドレ・デ・コルタンツが設計した車体は、LM GT1規定を研究しつくした結果生み出されたもので、ドライバーの居住空間などは二の次で徹底的に空力を追求したカーボン/アルミハニカム製モノコック構造を採用。そこにグランドエフェクト効果を最大限に狙った奇抜なデザインのボディシェルが被せられていました。
マシンのポテンシャルは極めて高く、参戦1年目の1998年のル・マン24時間では3台体制で臨み、そのうちの1台はレース終了の1時間15分前まではトップで走行し惜しくもリタイアを喫すものの、残った1台が9位でゴールしています。
TS020は結局のところ、1998、1999年のル・マン24時間、そして1999年のル・マン富士1000kmレースの3戦を走って退役していますが、そのインパクトと瞬発力は多くのレースカーファンに記憶に鮮明に焼き付いているはずです。