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色を塗ってデカールを貼ればハイ完成! ではないのです(その2)


バリ取りやピンホールの穴埋め、洗浄などを行って下地処理が完了したレジン製部品は塗装を施していきます。と言っても、いきなりボディ色を塗り、それで完成というわけには行かず、何層も様々な塗料を塗り、塗料の層の間にデカールを貼り、研磨を行ったりという作業をすべて1個1個職人の手で行います。

いずれの工程も「効率」を追求すれば精度は下がり、当然クオリティを大きく左右する部分ですので妥協を許しませんが、それが故に製造コストが嵩み、製品価格に占める割合も非常に大きなものとなります。メイクアップのモデルカーは決して安いものではありませんが、塗装を含めた彩色へのこだわりに、その一番の理由と魅力が込められていると考えていただいても良いかもしれません。

左:バリ取り、下処理作業 右:クリアー塗装前の下処理作業

細かい工程については割愛しますが、下地処理後、最初にプライマー/サフェーサーを吹き付けます。
プライマー/サフェーサーは、バリ取り作業などでついた細かなヤスリ目やキズを埋めるといった目留めの効果に加えて、塗装の密着性や食いつきを良くするというメリットがあります。

続いて実車で言うところの外板色(ボディカラー)を塗装します。色の塗り分けがある場合は、より薄い色の方を先に塗り、マスキングしてから濃い色を吹き付けます。塗り分けに関してはデカールで行う場合と塗装で行う場合、あるいは両方を併用する場合があります。ここにサンプルとして採り上げたアヴェンタドールは両者を併用しています。

塗り方に関しても赤や黒といったソリッドカラーは1度の吹きつけでも発色しますが、黄色などは塗りムラが出やすい上に、下地の隠ぺい力が低いので数回の吹き付けが必要になります。また、シルバーやゴールドを下地にクリアレッドをオーバーコートして深みのあるメタリックレッドを表現するキャンディ塗装など実車の雰囲気に合わせた塗装方法を駆使しています。

塗り分けの場合は塗りたい部分とそうでない箇所を覆う、マスキング作業が必要になります。しかし、1台1台、職人が目分量で立体物をマスキングしていくのは困難な上に、仕上がりにバラつきがでてしまいます。それを防ぐためにメイクアップの製品で外板色の塗り分けの必要性が生じる場合は、その境界線を原型にあらかじめ凹みモールドで刻んでおく工夫を凝らしてあります。


04 下塗り

このモデルは基本色がホワイトパールなので、まずはソリッドのホワイトをしっかりと乗せておきます。

05 パール塗装

ホワイトの上に、光をキラキラと反射させる微細な粒子の入った透明なパールコートを吹き付けます。

06 パール塗装の保護

パール塗料は粒子が大きめなこともあって、若干表面に凹凸が出ます。表面を平滑にするためにクリアーコートを施す。

07 キャンディ塗装の準備

次いで、赤で塗り分ける部分を残してマスキング。ガイド用にボディ側に塗り分け線がモールドされています。

08 キャンディ塗装の下地

メタリック地の上にカラークリアを塗り重ねることで飴のような質感を見せるキャンディ塗装。下地に銀を吹きます。
※実際はマスキングしたまま作業は続きます。

09 キャンディ塗装をオーバーコート

シルバーの上に、クリアーレッドを塗り重ねると、粒子がギラつかないしっとりとしたメタリック調のレッドになります。
※実際はマスキングしたまま作業は続きます

10 ボディ全体の質感を整える

パール塗装、キャンディ塗装を塗り分けたら、マスキングを剥がして、ボディ全体にクリアーコートを施します。


text : Makoto Ukai

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